がん治療の三本柱!放射線治療って何??
2019年9月2日の記事にて放射線についてふれました。
放射線治療についてのお話です。
レントゲン写真はとったことがある方はいるかと思いますが、放射線治療を受けたことがあるかたはそうそういないかと思います。
今回は放射線治療についてふれていきたいと思います。
がん治療の3本柱
放射線治療はがん治療の大きな役割を担っています。
がん治療の3本柱と言われているのが手術、抗がん剤、放射線治療です。
手術はみなさん知っての通り、がんがある部分を切除にて取り除きます。
ただし、腫瘍が重要な血管や臓器を巻き込んでいる場合や全身に転移がある場合には適応となりません。
抗がん剤は、全身に作用するため手術ができない場合にも適応となります。
しかしながら手術とは異なり、がんを完全になくすことはできません。
(CT画像等にうつらなくなるほど小さくなることはある)
また、同じ抗がん剤がずっと使えるわけではなく、重篤な副作用が出たり、がんに対して効果がなくなった(抗がん剤に対してがん細胞が耐性を示すようになった)場合には使えなくなります。
放射線治療はがん細胞があるところだけに放射線をあて、がん細胞のみを縮小させることができます。
重要な血管や臓器を巻き込んでいる場合や全身に転移がある場合においても、
治療目的によっては適応となることがあります。
放射線治療もがん細胞を完全になくすことができるわけではありません。
詳しくは後ほど述べます。それぞれの方法に調書・短所があり、もちろんどの方法も万全ではありません。
そんながん治療を担う3役者のうち、今回は放射線治療のお話です。
放射線治療の原理
細胞に放射線があたると、DNAの損傷がおこり、細胞は照射された線量に応じて、一定の割合で死んでいきます。
一方、DNAが損傷されても、それを修復する機能が備わっており、そのまま生き残る細胞も存在します。この回復能力は正常細胞のほうが高く、がん細胞のほうが低い傾向にあります。
また、放射線に対する感受性もがん細胞のほうが高いとされています。
この性質を利用するのが放射線治療です。
がん細胞だけに放射線を当てることができるわけではなく、放射線の通り道にある正常細胞にも放射線はあたってしまいます。
したがって一度にたくさんの放射線を当てると、がん細胞のみならず、正常細胞も大きなダメージを受けてしまいます。
通常放射線治療では、25回―30回に分割して毎日放射線を当て、
正常細胞とがん細胞の回復の差を利用して、できる限り副作用を出さないように治療を行います。
下図参照(ギモンらど!!より)
副作用
皮膚炎、脱毛、口内炎、口腔乾燥、咽頭・食道炎、吐き気・嘔吐、下痢、倦怠感などがあります。ただしこのすべての症状が出るわけではありません。
放射線を当てた部位に影響する副作用のみが現れます。
例えば、肺癌に対して肺に放射線治療をした場合、お腹や頭には放射線は当たっていないので、脱毛や下痢といった症状は出ません。
適応となる疾患
放射線治療の目的はかならずしもがんを治すことばかりではありません。
がんの根治を目指して治療をしたり、症状の緩和やQOL(Quality of Life)の維持を
目的に照射することがあります。根治目的の場合には、抗がん剤と組みあわせたり(化学放射線療法)、手術と組み合わせる(術前照射・術中照射・術後照射)場合もあります。根治治療は、遠隔転移のない限局する腫瘍が対象となります。
頭頚部がん、食道がん、乳がん、肺がん、膵がん、子宮頸がん、直腸がん、肛門がん、前立腺がん、悪性リンパ腫などがあります。
一方、緩和照射の適応となるのは照射により症状緩和が見込めるものすべてです。
例えば骨転移が生じ、それによって強い痛みがある場合、放射線を骨転移部に照射することにより、痛みの緩和が期待できます。
まとめ
放射線治療はがん治療の大きな役割を担っています。
正常細胞とがん細胞の回復の差を利用して治療を行うため25―30回程度に分割して毎日治療を行います。適応となる疾患も幅広く、症状緩和のために実施される場合もあります。副作用も照射を行った部位にのみ起こります。
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